安方線

(内輪線から分岐される支線)

安方線は、矢口変電所から六郷変電所までを結ぶ送電線である。
唯現状は、矢口変電所からは直接、架空送電線は引き出されてはおらず、東急多摩川線の武蔵新田駅から南東へ400メーター程進んだ所で、架空送電線路が立ち上がっている。
ちなみに当初は、矢口変電所から直接、東急多摩川線の上部を通過しながら、架空送電線が続いていたように思える。
戦後まもなくの頃だろうか、武蔵新田駅の駅舎が大きくなったことが要因で、途中の区間までは地中線になったようにみられる。
なお、六郷変電所から先の区間に関しては、これまた地中線路となり、大師線1号鉄塔に向かっていたように思われる。
その大師線は、その先で大きな多摩川を横断し(さすがに昔の技術では、河川の下に地中線路となった送電線は通せなかったようだ。)
東川崎線に接続され、門型鉄塔となりながら最終地点である大師変電所へと接続されていたようである。
しかしこれもまた、近代のタワマン建設や技術発展の影響であろう、2010年頃には全てが地中化されてしまった。
それではまずは、安方線の起点から見てみよう。

安方線の現在の架空送電線の起点は、東急多摩川線の武蔵新田駅から南東へ、400メーター程進んだところにある。
線路上に2基ずつ門型鉄塔を建てたものがあると思うが、丁度その右側が起点となっている。

なお、特にこちらは変電所名はなく、そのまま門型鉄塔で、2回線の送電線が立ち上がっている。

それから安方線の建設年は、大正15年のはずだが!

2号鉄塔の建設年は、昭和33年(1958年)12月を示していた。
これは恐らく、矢口変電所からここまでの区間を地中線路化した時期を示しているのであろう。

1号鉄塔で引き出された安方線は

2基ずつ東急多摩川線の線路上に建てられた2号鉄塔で、南東側へ振り分けられる。

振り分けられた後は

普通の四角鉄塔で、東急多摩川線の線路沿いから外れる。
なお、こちらの3号鉄塔では、プレートは打ち付けられてはおらず、建設年の確認はできなかった。

その後は、真新しい鋼管単柱鉄塔があったが

奥の方では普通の四角鉄塔で、スモッグがいしを使用した古いものも確認できた。
(こちらはそのうちの安方線12号鉄塔)

唯こちらの送電塔は、四角鉄塔としては近代的な構成である。

しかし昔のスモッグがいしでV吊懸垂とは、少し変わったような感じもした。
まぁでもそれは、杉並線でも見たか。

こちらの安方線13号鉄塔については、何か送電線でも引き下げていたような構成が見つかったが、現状は何もなかった。

この方の年式は、昭和43年(1968年)とあった。

後ろの送電塔もまた古い感じに見えたが、実際はどうだろうか

一方こちらは

上相と中相がV吊で、下相のみ耐張という構成であった。
住宅の背が高くなってきたような箇所では、下相のみ高さを稼ぐためにそのようにした箇所もあったみたいだ。

ちなみにこの近代構成については、どれも住宅の中に送電塔があるため、年式の確認はできなかった。

なお、大正15年当時物の矩形鉄塔については、20号鉄塔より見えてくる。

20号の看板

こちらは次の21号

矩形鉄塔区間の懸垂がいしは、どれも最新の耐塩懸垂がいしに取り換えられていた。

架空地の支持については、奥戸線とは少し違った部分もあり、こちらは三角形の形をしたもので支持していた。
昭和36年(1961年)建設の奥戸線では、それはない。

22号

次の23号は、再び耐張鉄塔となっていた。

次の24号で、ようやく年式が見ることができた。

大正15年12月とあった。
内輪線が竣工した時期と重なる。

そして安方線は、25号鉄塔が最終鉄塔となり、ここで六郷変電所に引き込まれる。

昭和63年以前は、当時物があったのだろうか?

六郷変電所の看板

最後に疑問点:日本発送電株式会社が昭和24年に発行した日本電力図を見る限り、どうみても安方線は、六郷変電所通過後、多摩川横断区間の大師線へと向かっているはずなのだが、それとは建設年が一致しないのが不思議である。
大昔は別の電気の流れ方をしていたとでもいうのだろうか?
大師線の多摩川横断箇所については、内輪線が竣工する前からあるようだ。

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