杉並線

(内輪線)

杉並線も引き続き内輪線の類となるが、ここからは2回線の同時併架を可能とした小さな矩形鉄塔が確認できた。
他には千鳥線まで行くと門型鉄塔も見られるが、内輪線として矩形鉄塔を採用していたのは、恐らくここだけだったのではないだろうか
しかし今やその数も大分減って、杉並線の背が低い原型矩形鉄塔も残り2基のみとなった。(2011年現在)
しかしその送電塔は、昭和元年の戦前に建設されており、3階建て以上の住宅や背の高いマンションが周辺に増えている影響だろうか(安全確保に懸念があるからだろうか)、完全に姿を消した。
そのため、現在ではすっかり、黄色く塗られた環境調和型の鋼管単柱鉄塔が主流となってしまった。
なお、送電用がいしについては、矩形鉄塔を使った古い原型鉄塔に限っては、公害がひどかった昭和35年頃に、1度がいしの交換を行ったのだろうか?
外ヒダが一回り突き出た、ボールソケット型の旧式のスモッグがいし(耐霧がいし)を使用したものがメインとなっていた。
このがいしは、化学工場による汚損対策で見かけるような気がするが、首都圏では後他に外輪系統である275kVの東京北線などでも見かけている。
そこは農地だから不思議だよな・・・
それはさておき、ここでは建て替え前の杉並線を見てゆく。

それではまずは、若番である39号鉄塔から見てみよう。

こちらは長いこと、特に内輪線時代から使われていた送電塔が改造されていたような形跡はなく、ずっとそのまま残っていたようである。
いわば生きた化石である。
それから後他に特徴的なのは、矩形鉄塔であったことだ!
他の区間の内輪線では、その例を見た例はない。
なお、最上部に張ってある2条の架空地線に付く細いスズランテープのようなものは、鳥を寄せ付けないようにするためのものに見られる。
送電塔内も鳥の巣ができぬよう、黒い網のようなものも複数見られる。

年式はこの通り!内輪線でよく見かける昭和1年(1926年)12月である。
早いところでは、大正15年(1926年)に建てられたところもあった。
それを示せば、現在、鳩ケ谷線となっている区間である。
ま、そこの撮影については、惜しくも大正表記のプレートは撮影できずに終わっているがのう。
※大正15年(1926年)といっても、西暦的には昭和元年と同時期である。確か昭和元年は、わずか1週間しかなかったはずだ。
大正15年の12月25日以前に建設されたか、以降に建設されていたかの違いである。

続いてこちらが杉並線40号鉄塔である。
送電塔の建て替えについては、戦前の送電塔は相当背が低く、安全上に問題が生じ始めてきたことが絡んでいるように思えた。
ご覧の通り、住宅のすぐ上部に送電線が通過している状況であった。
そのためか、この背後では既に、新しい鋼管単柱鉄塔によるものが建設され始めていた。

でも私は、もちろん古い方が好みである!

新鉄塔の方では、まだ懸垂がいしなどの取り付けはされてはいなかった。

ピンボケしてしまったが、ここで40号のプレートを撮影
年式は変わらず。

40号の看板

続いてこちらが杉並線41号鉄塔

ここではV吊に組んである懸垂がいしを拡大撮影
冒頭で少し述べた通り、こちらは唯の懸垂がいしではなく、旧型のスモッグがいしとなっている。

ちなみにこの手のスモッグがいしは、これよりも古いものでもう1種類あった。
さすがにそれは、どこを探してももうないであろう。日本碍子博物館でしか見たことがない。
こちらについては、2代目のものである。
がいしは5個ずつVに組んであるのが見えた。

41号鉄塔のプレート
年式は変わらず。

続いてこちらが42号鉄塔

こちらは耐張鉄塔となっていた。
杉並線の矩形鉄塔が残っていたのは、ここまでであった。
なお、撮影当時は後他に、JR中央線の線路を超える箇所にも1基、背の高い矩形鉄塔も残っていたようだが、そちらは撮影はできずに終了した。
ちなみにそこは建て替え後は、鋼管単柱鉄塔ではなく普通の送電塔にしたようである。

がいしについては、耐張の場合は、東電では普通の懸垂がいしを使用している。
(※稀に長幹がいしを使用する例もあり。)

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