田代幹線のタイダウン

タイダウンというのは、架空送電線路を谷底で支持するような箇所で適用される。
いわば、風圧による電線の横揺れに伴う電線の移動(持ち上がろうとする力)を防止するのが目的のようだ。
(平地と谷底では、加わる荷重が異なる。平地では垂直荷重があるが、谷底ではあまり垂直荷重は加わらない。)
英語ではTie Down
Tieは「〜をひもロープ等で結びつける、〜をくくる、〜を捕縛する」などの意であり
Downは下を意味するから、Tie Downの直訳としては、「下に下がるような谷底でしっかりと結びつける」みたいな意味合いになると思われる。
まぁそんな中で、今回見つけた田代幹線のタイダウンは、上下で固定された懸垂がいし連に丸みを帯びた感じとなっており、珍しい感じに思えたのだった。
ここではそれを見て行く。

懸垂がいし連に丸みを帯びた、一際珍しい田代幹線のタイダウンは、352号鉄塔で発見した。
これより若番方面にも1基あったようだが、そちらは2014年頃に建て替えられたようだ。

斜め横はこんな感じ。

ここでは送電線を上下にある懸垂がいし連によってしっかりと固定されているのがわかる。
こうすることで、送電線が上へと持ち上がらぬようにしているのである。

正面はこんな感じ。
タイダウンというと、がいし連含めて送電塔の形は四角形になりそうなイメージがあるが、ここはそうではなかった。
やや丸みを帯びた感じに見える。
なお、腕金については、中相と下相には、下からも支えているアームが付いていた。
下相の腕金が一番太くなっており、そこを特に補強しているように思えた。
そして、懸垂がいしもここでは内陸用ではなく、表面漏れ距離を長くした厚い耐塩懸垂がいしが使われていた。

さて、ここで年式の確認だ。
田代幹線の竣工年は、前の特集ページで昭和2年(1927年)であるのを確認しているが、この辺りの年式は昭和25年(1950年)であった。
23年若くなっていたが、送電塔の形としては、昭和初期の原型に思える。
何か一部で戦災被害があって、修復したのがその年代とでもいうのだろうか

送電塔は長らく未塗装であったから、建て替えの危機がありそうに思えたが、看板や建設年プレート類は全て更新されていた。

続いて、山の上へと続く353号と354号はこんな感じだ。
うち、頂上にある354号は、最近建て替えられたようで送電塔の形が違っていた。
なお、その手前にある353号については、防錆塗装がされているから今後もまだ残り続けるように思えた。
それにしても、このように腕金に傾斜があるのは、他には群馬にある上毛幹線でも見たような思い出がある。

一方こちらは、起点の早川第三発電所側・電源側(若番側)の351号だ。
こちらも塗装の剥げが確認でき、年季が入っていた。

さらにそれより電源側では、ところどころで背の高い新鉄塔に建て替えられている区間もあったが、山の中はまだまだ原型の箇所が多くあるみたいだ。

前へ     次へ

ゴロンディーナーのちょっとした送電線の鉄塔記録 トップに戻る

※当サイトは各電力会社・その他の企業とは一切関係ございません。

※当サイトの内容、文章、画像等の無断転載・無断使用は固くお断りします。
最近、当サイトに掲載中の画像が個人ブログやYahoo知恵袋等へ無断転載される事案が多発しています!!
無断転載は完全な著作権侵害となりますから、必要な方は必ず当サイトメールフォームよりご連絡下さるようお願い致します!
(当サイト内の内容をスマホやPCでスクリーンショットをして、それを公衆掲示板やツイッター等のSNSに投稿する行為も同様です!!固くお断り致します。)


inserted by FC2 system